女性と心臓病:自身のリスクを知る

危機にある女性たち


乳がんは、心臓病よりもはるかに女性を死に至らしめる病として有名です。それは女性が最も恐れる病気です。乳がんは、年齢や体力のレベルに関わらず発症する疾病だからです。それに対して、心臓病は一般的に、歳をとった女性の病気です。とはいうものの、乳がんの死亡例が毎年4万5千人に対して、心臓病は毎年50万人もの女性の命を奪っているのです。 しかしながら、心血管疾患の啓発を目的としたほとんどすべての公共キャンペーンは、男性をターゲットに実施されてきました。また、これまでの重要な研究のほとんどは男性の被験者に集中しています。その結果、冠動脈疾患 (CAD) における男性の死亡率は減少していますが、女性の死亡率は同じレベルで推移してしまっています。 幸いにも、この性別での不均衡に関しては、現在対応が進められています。多くの研究者や医師が、冠動脈疾患に関連する性差の問題を理解し、女性に向けた研究を推進する努力を陣頭指揮しているのです。

女性の心臓

心臓病には、明瞭な性差があります。しかしその話題は、研究中であったり、広範な公共教育機関の中という形で閉じられた話題となってしまっていることは確かです。男性の主要な死亡理由が心臓病であると聞かされても誰も驚かないかもしれません。しかし、女性の主要な死亡理由でもあると聞けば驚くかもしれません。

アメリカ心臓協会によると、

  • 100万人以上の米国人が、冠動脈疾患 (CAD) の合併症で毎年亡くなっています。これは、すべてのガンを合わせ、2位以下に続く7つの疾病による死亡数をはるかに上回っています。
  • 平均的な中年女性は、この事実を知りません。したがって、冠動脈疾患のリスクを下げていくような方法に関しても無知なままです。
  • 冠動脈疾患による死亡例の半数以上は女性です。
  • 毎年50万人もの女性の命が冠動脈疾患によって奪われています(女性の死亡原因の1/4)。それに対し、乳がんによる死亡は4万5千人です(女性の死亡原因の1/30)。
  • アメリカ合衆国では、毎分約一人の女性が心血管疾患によって亡くなっています。
  • 最初の発作から1年以内に亡くなる確率は、女性の方が男性をはるかに上回ります。.
  • 心臓発作の症状を持つ女性の2/3は、完全な回復ができません。
  • 最初の心臓発作から6年以内に、46%の女性の死亡が確認されています。
  • 45〜65歳の女性の1/8が、なんらかの心臓病の要因を持っており、65歳以上になると、これが1/4に上昇します。

女性と血管内皮機能障害

女性と血管内皮機能障害

虚血性心疾患 (IHD) はしばしば「男性の病気」と思われがちですが、実際には男性よりも6万人もの多くの女性の命が、心血管疾患によって全米で奪われています。最近の画期的な研究により、女性のIHDは男性のそれとは大きく異なり、様々な原因が複合して起こる疾患であることが明らかになってきました。さらに、女性の虚血性疾患は、現在の診断基準が男性の疾患例に基づいていることから、従来の診断手法での疾患検出が困難であり、そのため、危機的な状況に進むまで未診断のまま放置されてしまう危険性があるのです。しかし新たな最近の研究によって、女性の胸痛の背後にある原因とその診断手法が明らかになりつつあります。2009年に内科アーカイブで発表された研究では、女性に胸痛がある場合、それが冠動脈疾患を伴わない場合でも、心臓発作などの心血管疾患に対する高いリスクが存在する、と報告されています。Cedars-Sinai 心臓研究所にある女性心臓センター所長であり、WISE において主任研究員を務めるC. Noel Bairey Merz博士は、こう語っています。「この報告は、それ以前の研究と合わせて考えると、女性の心臓病は、男性の心臓病の縮小版などではないことを示唆しています。」国立心臓 / 肺 / 血液研究所の支援により、WISE研究は1997年から開始され、冠状動脈性心臓病の症状が、男性と女性とでどのように異なるかを示してきました。Bairey Merz博士は EndoPAT® デバイスを使用しており、イタマー・メディカル社に対し、心臓関連の医療問題に関する助言を長年にわたって行ってくれています。
皆さんが45 歳以上の女性であれば、あなたの主治医に EndoPAT® テストの実施を是非相談してみてください。

女性は、男性とは異なっている

女性は、男性とは異なっている

WISE調査によって発見されたこの画期的な事実に基づくなら、心臓病とは、女性と男性とで同じ症状を呈する病気ではありません。女性と男性の心臓病は、それぞれ全く異なる症状を呈し、従って、異なる治療法を必要とするのです。この研究の最初の著者で、心臓病専門医であり、Northwestern Memorial’s Bluhm循環器病研究所で女性心血管センターの副所長を務めるMartha Gulat博士はこう語ります。「私達の調査結果は、今まで医学会で常識と思われてきた低リスク患者が、実は高いリスクを持った患者であり、男性とは異なる治療が必要であることを示唆しています。」

血管内皮機能障害のチェック


医師たちは、この診断困難な胸の痛みは、血管内の細胞層が正しく機能しないことで発症する微小血管狭心症や血管内皮機能障害に起因するものと考えています。しかもこの症状は、標準的な検査では検出できません。研究者たちは、血管内皮機能障害は、冠動脈疾患の初期段階、リスク因子の中のリスクであると考えています。研究者たちは、女性たちに以下の行動を取ることを勧めています。
  • 胸痛の症状を持つ女性は、冠動脈疾患の初期テストを受けること。
  • 冠動脈疾患の明白な証拠がない場合でも、血管内皮機能障害のテストを受けること。
  • 異常が検出された場合、患者は、機能障害を改善させる治療法を受けること。 EndoPAT® は、診療所の問診室内で、たった15分で検査可能な、唯一FDAによって承認された血管内皮機能の検査機器です。
  • 症状があるにも関わらず、血管内皮機能障害のない女性は、心臓病、喫煙、体重コントロール、コレステロールなどの特定のリスク因子を積極的になくしていく処置を、かかりつけの医師と共に進めてください。

画期的研究: 女性における血管内皮機能と虚血性心疾患のデジタル評価


虚血性心疾患とは、冠動脈疾患 (CAD) の医学用語です。虚血性心疾患の多くは、特に女性の場合において、「サイレント」すなわち何の症状も引き起こさないことが多い病気です。治療を行ったとしても、こういった「サイレント」症状の場合、誰にも気付かれずに症状が進行し、心臓の電気的異常活動である突然の心臓発作や、不整脈による突然死が訪れる危険性があります。 EndoPAT®テストが虚血性心疾患の存在を予測できるかどうか、140人の女性に対して行った松澤泰史医師の研究によれば、年配の女性であればあるほど、虚血性心疾患へのリスクが非常に高くなることが報告されています。2010 年に、アメリカンカレッジ心臓病ジャーナルに発表されたこの調査によれば、小さな胸の痛みはあるものの、他の症状を有しない140人の安定した症状の女性にEndoPAT®テストを施したところ、後に非閉塞性冠動脈疾患若しくは閉塞性冠動脈疾患と診断された女性たちのEndoScores®は、すでにこの時点で著しく悪い結果を示していました。これはすなわち、大きな胸の痛みを伴わない冠状動脈性心臓病患者を、この時点で特定することが可能である、ということです。なぜなら、非侵襲的 EndoPAT®テストは、虚血性心臓病の存在を確実に予測可能だからです。女性の死の原因の第1位が冠動脈疾患であることを考えると、45歳以上の女性は、今すぐ主治医にEndoPAT®検査を申し込むべきであると、この研究は示唆しています。