血管内皮機能障害 (血管の健康) – それは危険因子の中で、究極のリスク
10年以上に渡り、血管内皮機能障害は、危険因子と臨床疾患との重要な接点であるとして医学コミュニティに認識されてきました。何故ならそれは、心血管疾患を早期に検出できる段階だからです。さらにその障害は、動脈硬化を引き起こすプラーク障害とは異なり、治療可能であり可逆的な障害でもあります。
血管の内層にあたる血管内皮細胞は、別名「スーパー臓器」とも呼ばれ、炎症、酸化ストレス、自己免疫疾患などから恒常性を保たせ、主要な生物学的プロセスを調節します。血管内皮は、約10万kmにも及ぶ血管の内側の壁に並んだ、平らで、滑らかな細胞の薄い層のことです。
体に害を及ぼす生活習慣の進行により、酸化ストレスが全身の血管内皮組織にダメージを与え、静脈と動脈を硬化させ、勃起不全、腎臓病、末梢血管疾患、心臓発作や脳卒中といった多様な疾患を引き起こしていきます。
様々な研究が、血管内皮機能障害こそ”リスク因子”究極のリスクであり、心血管疾患を臨床的に検出できる、最も早い段階であると位置付けています。
今までのゴールデンスタンダードに対抗する新たな検査(侵襲 vs 非侵襲)
これらの写真、左は血管内皮機能が正常な冠動脈、右は血管内皮機能に異常をきたしている冠動脈を示しています。これは、動脈を拡張させ、健康な血管での血流量を増大させる、アセチルコリンの冠動脈内投与をカテーテル検査で注入する処置の前と後の様子です。この実験的な治療方法が、冠動脈の内皮機能障害を評価し、心臓の動脈硬化の有無を確かめる標準的な検査とされてきました。
しかし、これらの写真は、この標準的な検査に対して、2003年に米国FDAの正式認可を受けたEndoPAT®による血管機能障害検査の価値が如何に高いかを示す証拠でもあります。
左 (正常な血管内皮機能)の2つの写真 : 左側の写真は、健康な血管を示しています。右側の写真の説明にある通り、アセチルコリンの注入後、血管は拡張し、その拡張によって血流量が増加しています。
その増加した血流は、写真の下にある造影トレースによっても示されています。
血流は上腕動脈で収縮し(グラフ左側)、その後リリースされます(グラフ右側)。これは、指先のみで検査を行うEndoPAT®による正確な所見としてもたらされます。
増加した反応性充血と良好な血流のマーカーであるグラフ右側の赤いバーは、良好な血流と正常な血管内皮機能を示す左側の緑色のバーよりもはるかに大きいことに留意してください。
右 (異常のある血管内皮機能)の2つの写真 : 左上の写真は、冠動脈の収縮した血管内皮機能障害と動脈硬化の存在を示します。アセチルコリンの注入後 (写真右)、アセチルコリンは血管の平滑筋組織に直接作用し、エンドセリンのレベルを高め、血管が圧迫されていきます。これは、血管収縮を引き起こすとともに、血流量の大幅な制限を引き起こします。そうなることで、エンドセリン濃度は上昇、動脈硬化へと繋がっています。これは、写真下、血管造影トレースの前と後の部分に説明されています。
EndoPAT® テストでは、左と右のグラフの赤と緑のバーは全く同じ大きさであり、上腕動脈の収縮によって作成されたストレス反応がなかったことを示しています。血管内皮細胞が損傷しており、動脈硬化が存在しているのです。
冠循環系における血管内皮機能障害の存在は、従来の危険因子以外の病気の初期段階にある人々の、将来の心血管イベントを予測するのです。
血管内皮機能はどのように測定されるのでしょうか。
臨床心臓病学研究所において、冠動脈にカテーテルでアセチルコリンを注入して X 線による撮影を行い、動脈径の変化を具体的に測定することで、血管内皮機能が初めて測定されました。この処置により冠動脈の内径が拡大すれば、健康な血管内皮であることを示しています。
しかし、冠動脈径が縮小した場合、それは血管内皮機能障害と動脈硬化の前兆であることを表しています。
この方法の問題は、それが侵襲的であることにあり、検査するにも入院が必要なことでした。それは、健康な患者にとっては非常に大きな負担となります。
1992年、上腕動脈の米国の高解像度イメージングを用いた血管内皮機能障害を評価するための研究手法が開発されました。
この手法 (反応性充血手順とも呼ばれます) は、カフを使用した5分間の駆血と、高周波超音波プローブを使用して上腕動脈の直径を測定する方法で、手動での上腕動脈の血流のリリースが必要となります。
上腕動脈径の増加が 5% 未満の場合、内皮機能障害と心血管疾患の兆候を示しています。上腕動脈径の増加が10%以上であれば、それは健康な内皮機能の明確な兆候となります。動脈が健康であればあるほど、反応性充血の応答は大きくなっていきます。
この発見は、前進への大きな一歩であり、検査機関にとって使いやすい検査機器開発の最初のステップでしたが、検査方法自体が経験豊富な超音波技師に依存し、上腕部の測定位置によって値が変化してしまう、検査機関やクリニックにとっては、非常に鋭敏で扱いにくい検査方法でもありました。矛盾した結果と許容範囲を超えたバリエーションが出てきてしまうのです。
しかし、EndoPAT® は、これらの制限を克服しました。EndoPAT® は、血管内皮細胞の健康を測定する革新的な独自のPAT® (末梢動脈トーン) 技術を利用しています。PAT® 信号は、指先から指の動脈の拍動の容積変化を記録することによって測定されます。PAT®振幅が高いほど、血管の機能が良好なことを示しています。
15分ほどのテストによって、結果は自動的に計算され、EndoScore® が生成され、内皮の健康の現在の状態が示されます。EndoPAT®を使用した検査であれば、オペレーターも解析者も必要ありません。医師自身の検査だけで、再現性の高い結果を提供します。
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