EndoPAT® FAQ

  • 血管内皮機能障害とは?

    血管内皮機能障害とは、血管の健康維持、特に血管運動を保つために様々な役割を担っている、一酸化窒素 (NO)の生化学的供給が減少すること、と定義付けることができます。それ故に、血管内皮機能障害は内皮機能由来の血管拡張反応障害として定義されます。 血管内皮機能障害とは、心血管リスクによって引き起こされる影響の総和であり、「リスク要因の究極リスク」として定義付けられる(1) 。(1) Lerman A and Zeiher A. Endothelial Function, Cardiac events, Circulation 2005, 111,363-368.

  • 血管内皮細胞とは?

    心臓と体すべての血管を含む、全長10万キロにも及ぶ循環システムの内部表面である血管内皮を構成する細胞です。血管内皮細胞は、血流量を最大化させるために、血管をリラックスさせ開かせる機能を持つ一酸化窒素(NO)を発生させます。 血管内皮細胞は、血管の収縮を起こす物質であるエンドセリンも生成します。 周辺組織の酸素需要に対して、瞬時に血管を広げる、もしくは収縮させるのが、この2つの分子なのです。

  • 血管内皮細胞が重要な理由とは?

    血管内皮細胞は、体組織への血流を確保するだけでなく、動脈内へのプラークの蓄積によって引き起こされる動脈硬化から血管を保護してくれてもいるからです。

  • 血管内皮障害と血管内皮機能障害の原因は?

    喫煙、高コレステロール、高インスリン値、高血圧、栄養不足、運動不足、慢性的なストレスによって、血管内皮細胞はダメージを受けてしまいます。

  • 血管内皮機能障害が心血管の健康に与える影響は?

    喫煙や脂肪の多い食品、汚染物質は、血管内皮細胞を損傷させ、慢性的な炎症状態を引き起こし、血管内皮細胞を機能不全の状態に陥らせてしまいます。この血管内皮細胞の機能不全状態が続くと、高血圧、心臓発作、脳卒中、末梢動脈疾患、勃起不全、メタボリック シンドローム、睡眠時無呼吸症候群、腎不全、壊疽などの症状が引き起こされていくのです。

  • なぜ血管内皮の健康をテストすべきなのでしょうか?

    予防は最良の治療法だからです! この血管内皮の健康状態を定期的に測定するのはとても重要なことです。なぜなら、心臓や循環器系の健康は、血管や心臓の内部に並んだこの薄い細胞層の機能に依存しているからです。心血管疾患は、長年に渡って進行する疾患であり、その最初のプロセスは音もなく進行します。この段階において、血管内皮を構成する細胞へのダメージを検出することこそ、心血管疾患を臨床的に検出する最も早い段階なのです。

  • 血管内皮機能は回復可能なのですか?

    回復可能です。 脂肪の少ない食事、禁煙、コレステロールを下げること、定期的な運動、医師指定の薬 (例えば; 高コレステロール血症、高血圧のため ACE 阻害薬、勃起不全のための PDE5 阻害薬、スタチン) を取り、主治医指定のビタミンを補給していけば、血管内皮の健康を取り戻すことは可能です。

  • EndoPAT® とは?

    EndoPAT®とは、血管内皮機能評価のための代表的な非侵襲的医療機器です。イスラエルに本社を置くイタマー・メディカル社によって開発されました。

  • EndoPAT® 検査とは?

    EndoPAT® (末梢動脈トーン) 検査とは、血管内皮の全体的な健康をチェックする非侵襲的検査のことです。血管内皮機能が正常であれば、動脈硬化 やプラークの蓄積から血管を保護します。15分間の問診室内でも実施可能な検査です。

  • EndoPAT® 検査の仕組みは?

    EndoPAT® は簡単な六つのステップ の検査です。 Step 1 まずは検査台の上に仰向けに横になってください。 膨張する血管加圧カフが力こぶのあたりに巻かれます。カフをしない腕の数値は、この検査のコントロール値として機能します。 Step 2 EndoPAT® 記録装置に接続されている、プレチスモグラフ プローブを含む特別な指バイオ センサーを、血管機能を測定する各人差し指にはめます。指の血流量の読み取りが開始され、血液が心臓から全身を通り、再び心臓に戻っていくことを示すパルスである、末梢動脈トーン (PAT)が測定されます。 Step 3 5分間のPATモニターの後、左腕に巻かれた血管加圧カフを膨らませて、左腕の血液の流れを一時的に停止させます。 Step 4 5 分後、血管加圧カフを解放し指に上腕動脈の血流を解放します。 Step 5 血管加圧カフが解放された後、指の先端に血液を送る際に発生する通常の血流反応である反応性充血が、指先にある特殊なセンサーでモニターされます。 Step 6 The EndoPAT® はPATの変化を自動的にグラフ化し、血管の評価を可能にすると共に、カフが巻かれた状態の前、最中、後の上腕動脈における充血反応を示します。

  • EndoScore™ とは?

    EndoScore™ とは、15分間の検査に基づき、閉塞後と閉塞前の検査側のPAT振幅数レシオを、閉塞後と閉塞前のコントロール側のレシオで割った値です。EndoScore™が高いほど、血管内皮機能が健康であることを示し、心臓病の危険は小さくなります。 EndoScores には、3 つの基本的なカテゴリがあります。 レッド・ゾーン 1.67 未満のスコアです。 適切な血管内皮機能が働いていない状態です。これは心臓に関する、差し迫った問題の兆候かもしれません。このレベルの EndoScore™ は病気の存在を示す可能性があり、積極的な治療や医療処置かどうかを知るために、医師による即時の診断と介入が必要です。 血管内皮の健康を復元することが絶対に必要な段階です。 イエロー・ゾーン 1.67 から2.00までのスコアです。 血管内皮は健康な状態にあり、リスクはありませんが、しかし、完璧な状態ではありません。EndoScore™を向上させるため、健康アップのためのあらゆる方法をいますぐ実行すべきです。健康の維持は、食生活を改善し、運動の機会を設け、禁煙をし、怪我や事故を避けるよう注意し、緊張と心配事と如何に上手に付き合っていくかにかかっています。選ぶのはあなたです。健康であること、を選択しましょう! グリーン・ゾーン 2.10 から3.00までのスコアです。 血管内皮は最適に機能しており、体はこの機能により最大限の保護を受けています。 いま現状続けていることを維持しましょう。なぜなら、この状態であれば、あなたの食生活と定期的に行っている運動によって、血管の健康と長寿、特に血中コレステロール値、高血圧、そして肥満に関与するリスク因子が抑制されているからです。

  • PAT™信号とは?

    PAT™(末梢動脈トーン) 信号とは、末梢動脈床の容積変化を非侵襲的に測定する独自の技術です。EndoPAT® で使用されるPAT™信号は、指動脈の容積変化を記録することにより、指先から測定されます。15 分のテストの結果は自動的に計算され、EndoScore™ が生成、血管内皮の現在の健康状態が示されます。EndoPAT® は、米国FDA基準を満たしている、唯一の血管内皮機能検査機器です。直接的に冠動脈の血管内皮機能を評価する、侵襲的なカテーテル検査法と同等の結果が、PAT™技術によって得られることを証明することで、FDA基準をパスしたのです。この臨床研究はメイヨー クリニックにて行われました。

  • 血管内皮機能障害に対しては、どのような治療が行われるのですか?

    血管内皮機能障害は、生活習慣の改善、L-アルギニンのようなホメオパシー治療、様々な治療薬 (例えばコレステロールを低めるスタチン系薬剤、高血圧の治療に使われる ACE 阻害薬、勃起不全治療に使用される PDE5 阻害剤)など、多くの既存の治療方法や、糖尿病患者の血糖コントロールなど、並存する疾病の治療によって、元の健康状態に戻すことができます。血管内皮機能障害を治療する新薬も現在開発中です。内皮機能不全は治療可能、かつ可逆的な疾病なのです。

  • EndoPAT® が血管内皮機能を測定する方法とは?

    EndoPAT® は、(標準的な血流圧迫用カフを使用して)上腕動脈を5 分閉塞後、これによって誘発される、血管内皮由来の末梢動脈トーンの変化を定量化します。カフを外すと、血流は急激に増大し、FMD (= Flow Mediated Dilatation) と呼ばれる血管内皮由来の、血流が原因となる膨張が起こります。反応性充血として発現するこの膨張反応は、PAT™信号の振幅の増加として EndoPAT® によって捉えられます。閉塞後と閉塞前を比較した比率がEndoPAT® 付随のソフトウェアによって計算され、EndoPAT® インデックス (EndoScore™)が導き出されます。

  • なぜEndoPAT® 検査を受ける必要があるのでしょうか?

    予防こそ、最良の治療法だからです! 心血管疾患は、長年にわたり進行していく疾病です。特に初期段階は、潜在性動脈硬化と呼ばれ、何の兆候も症状も発症しません。この段階における血管内皮機能障害は、臨床的に検出可能な潜在性動脈硬化の最も早い段階であると見なされています。動脈硬化とは異なり、血管内皮機能障害は、適切な治療法を取ることで、元の健康状態に戻すことが可能な疾病なのです。

  • EndoPAT® 検査での正常値を教えてください。

    RHIが 1.67 以上の場合、正常であると診断されます。この数値は、メイヨー クリニックで行われた、ボネッティらの研究 (6) により決定されました。この研究においては、EndoPAT検査と、冠動脈カテーテル検査内でのアセチルコリン 注射というゴールドスタンダードの検査手法による冠動脈内皮機能検査との比較が行われ、両者の結果に相関関係があることが証明されました。(6) Bonetti PO, Pumper GM, Higano ST, Holmes DR Jr., Kuvin JT, Lerman A. Noninvasive Identification of Patients with Early Coronary Atherosclerosis by Assessment of Digital Reactive Hyperemia. JACC 2004; 44: 2137-2141

  • RHIが1.67 未満の場合、どうすればいいのでしょうか。

    EndoPAT® スコアが 1.67 未満の場合、血管内皮機能障害が疑われます。しかし、内皮機能障害は治療可能、かつ可逆的な疾病です。血管内皮機能障害は、生活習慣の改善、L-アルギニンのようなホメオパシー治療法、様々な治療薬 (例えばコレステロールを低めるスタチン、高血圧の治療に使われる ACE 阻害薬、勃起不全治療に使用される PDE5 阻害剤)など、多くの既存の治療方法や、糖尿病患者の血糖コントロールなど、並存する疾病の治療によって、元の健康状態に戻すことができます。血管内皮機能障害を治療する新薬も現在開発中です。

  • 子供を検査することはできますか?

    EndoPAT® 検査のほとんどは、大人で行われていますが、若年層でも現在進行形で公開されている多くの研究があります。しかし、子供のためのバイオセンサーの特別なデザインはありません。EndoPAT® バイオセンサーの長さは 5 cmです。従って、子供の指の長さが、少なくともバイオ センサーの長さ以上ある必要があります。このことは、セルメットら*によって、若年層EndoPAT検査を通じ、その再現性と適応性が確かめられています。 30人の健康な13 ~ 19 歳の年齢の患者に対し、7日間以内の異なる2日間でEndoPAT検査が行われました。「健康的な若年層に対してもEndoPAT検査は有効であり、優れた再現性持っている」と、この研究の著者たちは述べています。その上で、「この技術は、小児における血管内皮機能を評価する簡単で信頼性の高い手段となり得る」とも述べられています。* Selamet Tierney ES, Newburger JW, Gauvreau K, Geva J, Coogan E, Colan SD, Ferranti SD. Endothelial Pulse Amplitude Testing: Feasibility and Reproducibility in Adolescents. J Pediatr. 2009; 154(6):901-5.

  • EndoPAT® は、血管内皮機能障害と心血管イベントを予測することが可能なのでしょうか?

    Tuftsとメイヨークリニックの研究者によって行われた 2009年調査の結果報告において、フラミンガム リスク スコア (FRS) に基づく低または中程度のリスクを持つ人々に対し、EndoPAT® 検査を行うことで、心臓発作や脳卒中などの主要な心臓イベントを「高い確率で予測可能」であるとしています。FRS は、一般的に使用されるリスクの予測方法であり、現在においても継続中の、心疾患の長期研究であるフラミンガム心臓研究によって開発されました。 全米大学循環器科ジャーナルで出版されたメイヨー クリニックの研究において、研究の著者であり、循環器専門医でもあるアミール・ラーマン教授 は、メイヨー クリニックや他の研究者と共に、42 から 66 歳の間の 270人の 患者に対し、彼らの血管内皮の健康を測定するためにEndoPAT® を使用、これを1999年と2007年の2回に渡り計測し、その比較を試みました。この患者たちは、自分たちが、自身のFRSに基づき、すでに低-中程度の、主要な有害心イベント、すなわち主要有害心血管イベント(MACE)の発生リスクを有していることを知っていました。そのリスク要因のいくつかには、高血圧、高コレステロール血症、肥満、心臓病の家族の有無が含まれています。 研究結果: 正常な血管内皮機能を示した人の主要有害心血管イベント(MACE)発症率が25%であったのに対し、血管内皮機能障害が陽性を示したの患者内での数値は39%でした(p = 0.024)。 研究では、FRS は低いものの血管内皮機能障害を持つ患者は、高い FRS であるものの正常な血管内皮機能の患者よりも、将来の心血管イベントのリスクが高いことを示しています。さらに、多変量解析手法により、血管内皮機能障害は、主要有害心血管イベントの独立したリスク因子であることも判明しています (p = 0.002)。* Rubinshtein R, Kuvin JT, Soffler M, Lennon RJ, Nelson RE, Pumper GM, Lerman LO, Lerman A. Assessment of Endothelial Function by Peripheral Arterial Tonometry Predicts Cardiovascular Events Beyond the Framingham Risk Score. JACC 2009; Suppl.

  • 指先の血管機能の変化を測定することだけで、全身の血管の内皮細胞をチェックすることができるのですか?

    血管内皮は、体のどの部分でも同じ状態を保ちます。ですので、一度どこかの部分で機能障害が発見されれば、それは全身の血管内皮細胞がダメージを受けていることを示しているのです。これが、全身機能不全です。血管内皮機能障害は、勃起不全、メタボリック・シンドローム、脳血管疾患 (脳卒中・TIA)、子癇前症妊娠中毒症、腎障害、睡眠時無呼吸症候群、跛行、壊疽など、様々な全身性疾患に深く関わっています。 ボネッティらにより * メイヨー クリニックでは、94人の標本による、冠動脈内皮機能の血管造影法検査とEndoPAT検査が行われました。冠動脈内皮機能は、血管造影中にアセチルコリンを注射することで定量化されます。この研究では、非侵襲的なEndoPAT® テストにおいても、その結果は、血管造影による検査結果に強く相関することが判明しました。 因みにこれは、EndoPAT®が、冠動脈内皮機能障害の検出のためのFDA基準をパスするために使用された研究です。1.67 のEndoScore™に対しては、82% の感度と77%の特異度を示し、冠動脈内皮機能診断のため、AUC(利用された総薬物量) 0.82が用意されました 。* Bonetti PO, Pumper GM, Higano ST, Holmes DR Jr., Kuvin JT, Lerman A. Noninvasive Identification of Patients with Early Coronary Atherosclerosis by Assessment of Digital Reactive Hyperemia. JACC 2004; 44: 2137-2141.

  • EndoPAT® 検査の再現性に関して教えてください。

    EndoPAT 検査では、オペレーターも解析者も必要ありません。 30人の健康な13 ~ 19 歳の年齢の患者に対し、7日間以内の異なる2日間でEndoPAT検査が行われました*。「健康的な若年層に対するEndoPAT検査は有効であり、優れた再現性持っている」と、この研究の著者たちは述べています。その上で、「この技術は、小児における血管内皮機能を評価する簡単で信頼性の高い手段となり得る」とも述べているのです。* Selamet Tierney ES, Newburger JW, Gauvreau K, Geva J, Coogan E, Colan SD, Ferranti SD. Endothelial Pulse Amplitude Testing: Feasibility and Reproducibility in Adolescents. J Pediatr. 2009; 154(6):901-5. For more information regarding EndoPAT reproducibility please address to EndoPAT product overview page 5.

  • EndoPAT® とBAUS (上腕動脈超音波)との間には、どのような関係があるのでしょうか?

    BAUSは、末梢における非侵襲的血管内皮機能評価のための一般的な検査方法です。しかし、それはいくつかの点で EndoPAT® とは異なります。BAUSは、単一の血管を検査するのに対し、EndoPAT® は毛細血管や微小循環血管系から成るいくつかの血管床を測定します。さらに、EndoPAT® では閉塞を行わない反対側の腕(コントロール腕)を同時測定することにより、全身での自律神経変化に対する補正を施します。必要最小限のトレーニングを受けていただければ、EndoPAT® は、専用のオペレーターを必要としません。しかし、BAUS検査では、データ集録と解析の両方に、熟練した超音波技術者を必要とします。さらに、EndoPAT® で測定した数値は、はるかに広いダイナミックレンジ(数百 %)を持っているのに対して、 BAUSの数値は非常に小さな変化でしかありません (通常10% 前後) 。FMD (血流依存性血管拡張反応)に関して、EndoPAT® とBAUSで同様の傾向を示す調査結果が多々存在します。

  • EndoPAT®の検査結果 は、冠動脈内皮機能と相関関係にあるのでしょうか?

    EndoPAT® は、冠動脈内皮機能の検査手法と比較した場合、より高度の感度と特異度を提供します。冠動脈内皮機能は、血管造影中にアセチルコリンを冠動脈内注射し、それによって引き起こされる血管径の変化と血流反応を定量化することで評価されます。 ボネッティらにより * メイヨー クリニックでは、94人の標本による、冠動脈内皮機能の血管造影法検査とEndoPAT検査が行われました。これは、EndoPAT®が、冠動脈内皮機能障害の検出のためのFDA基準をパスするために使用された研究です。1.67という EndoScore™の基準値は、82% の感度と77%の特異度を示し、冠動脈内皮機能診断のため、AUC 0.82が用意されました 。* Bonetti PO, Pumper GM, Higano ST, Holmes DR Jr., Kuvin JT, Lerman A. Noninvasive Identification of Patients with Early Coronary Atherosclerosis by Assessment of Digital Reactive Hyperemia. JACC 2004; 44: 2137-2141.

  • EndoPAT® と一酸化窒素(NO)の生物学的利用率の関係を教えてください。

    ボストンにあるブリガム女性病院のノーリア、ゲルハルトら*は、一酸化窒素 (NO) の中心的な役割とは何であるかを、EndoPAT® で測定した閉塞血管拡張反応で実証しました。19人 の健康なボランティアのグループに対し、L-NAME(内皮一酸化窒素合成酵素の酵素合成阻害薬)の動脈内注射が行われ、その前後で EndoPAT® インデックス (EndoScore™) の測定が行われました。その内15名の、コントロールとの一致を示した被験者には、生理食塩水かフェニレフリン (血管内皮機能の影響を受けない血管収縮剤) が点滴によって注入されました。L-NAMEは、46%の血管拡張反応をブロックしていたことが報告されています (p = 0.002)。これらの結果は、EndoPAT® が実際に NO を介した血管内皮反応を測定していることを示しています。* Nohria A, Gerhard-Herman M, Creager MA, Hurley S, MitraD, Ganz P. The Role of Nitric Oxide in the Regulation of Digital Pulse Volume Amplitude in Humans. J Appl Physiol 2006; 101:545-8.

  • EndoPAT® と、従来の心血管危険因子 (フラミンガム リスク スコア) との相関関係について教えてください。

    2003 年以来、フラミンガム心臓研究グループは EndoPAT® による血管内皮機能測定を行っています。3つの研究群(オリジナルのグループ、その子供達、そして第3世代群)がEndoPAT®によって検査され、全体では5,000例もの検査結果が集まっています。この研究では、EndoPAT® インデックスと、以下の因子を含む複数の 心血管リスク因子との有意な逆相関関係が示されました: 男性であること、BMI、HDL コレステロール、糖尿病、喫煙、脂質低下療法。

  • EndoPAT® 検査の所要時間は?

    検査は完了までに15 分。その方法は非常に簡単で、別のオペレーターや解析者を必要としません。これは非侵襲的検査であり、結果は自動的に解析され、問診室ベースでの検査が可能です。

  • EndoPAT®検査では、なぜ両方の腕が必要なのですか?

    EndoPAT® の評価をたった一人の検体で評価することを考えてみてください。血圧カフとフィンガーモニターで片腕の血管内皮機能がテストされている間、もう片方の腕は、両方の腕に影響を与える血流の変化を監視する目的で使用されています。両腕を測定することで、EndoPAT® はテストの過程中に発生する全身の変化を自動的に修正し、両方の指のモニターから収集した情報に基づいてEndoScore™を計算していきます。

  • どちらの腕が、閉塞用/コントロール用なのでしょう。

    利き腕でない方の腕が、検査(閉塞)用の腕として推奨されています。一般的に利き腕に比べ筋質量が小さく、動脈閉塞が容易に起こるからです。

  • テスト用の指は決まっているのですか?

    親指以外であれば、どの指でも構いません。しかし、人差し指へのセンサー設置をお勧めします。血液供給の違いを見るため、両方の腕の指は対称的にペアリングさせる必要があります (すなわち両方共に人差し指か、両方共に中指、など)。 親指での検査は避けてください。

  • 5分という閉塞時間に意味はありますか?

    5分という時間は、閉塞に対する血流量増大を引き起こす強制的刺激反応を引き出すのに、必要かつ最適な時間です。 (4) 30 人の健康な成人ボランティアで、閉塞時間と閉塞場所の変動効果をテストしました。前腕にカフを巻き、異なる閉塞時間 (1.5、3、5、8 分)で効果を測定したところ、効果的な最大の応答反応は、5分という時間で発生しました。5 分未満の閉塞では、大幅に低い反応しか得られませんでした。また、5 分と 8 分との閉塞時間では、その間に有意差はありませんでしたが、やはり長時間の閉塞は不快感の原因となりました。

  • 血管圧迫カフを上腕に5分間巻くことで、不快感はありませんか?

    5 分間の血管圧迫カフによる膨張効果は、血管内皮機能評価のための反応性充血 (血液の供給の一時的な制限後の血流の増加) を引き起こすための標準的なテストとされています。閉塞により、不快感や指のしびれを引き起こす可能性がありますが、検査自体は完全に無害です。

  • 閉塞のための血管圧迫カフを巻く最適な場所はどこですか?

    最適な場所は上腕です。 フェイジらは、上腕にカフを巻いた20人の上腕動脈を5分間に渡って閉塞させました (5)。これらを、前腕を5 分閉塞した試験と比較した結果、 前腕閉塞の場合、EndoPAT® インデックス1.88 (±0.55) 、上腕閉塞の場合 2.07 (±0.69) (p = 0.097)という数値が導き出されました。また、前腕の閉塞は、上腕閉塞より不快感は少ないことが分かりました。(5) Faizi AK, Kornmo DW, Agewall S. Evaluation of Endothelial Function Using Finger Plethysmography. Clin Physiol FunctImaging 2009 Jun 22.

  • EndoPAT® 検査の臨床要件は?

    The EndoPAT® はコンパクトであり、ほとんどのあらゆる臨床現場で使用することができます。PAT™信号は、自律神経活動を反映しているので EndoPAT® 検査時にはストレス フリーな環境を用意することをお勧めします。静かで、室温が21度から24度の間に設定され、淡い室内光の部屋が、検査に最適な環境と言えるでしょう。 検査は、ベッド、テーブル、肘掛け椅子など、どこでも実施可能です。ただし、両方の手が心臓と同じ高さでリラックスできるよう調整してください。

  • EndoPAT® 検査前に必要な特別な準備はありますか。

    検査実施の3〜8時間前は食事を抜いてください。 さらに、テスト前24時間に次の薬は使用しないでください: ニトログリセリン • α-遮断薬、β 遮断薬、およびカルシウム チャンネル遮断薬 ACE 阻害剤 • スタチン系薬剤。

  • RHI とは何ですか?その計算方法は?

    RHI は、Reactive Hyperemia Index(反応性充血インデックス)の略です。これは、EndoPAT® 検査の最終的な結果です。それは、閉塞後と閉塞前の検査側のPAT™振幅数レシオを、閉塞後と閉塞前のコントロール側のレシオで割った値です。

  • EnsoPATからは、どのような結果が、どのようなフォーマットで出て来るのでしょう?

    EndoPAT® からのアウトプットは次のような形で出力されます: 検査結果の印刷レポート、患者のカルテに添付可能な検査結果の変数とグラフ、·複数の検査結果の変数や詳細な評価のパラメーターを記載したスプレッドシート。

  • EndoPAT® データの保存方法は?

    データは、EndoPAT® のハード ドライブに保存されます。EndoPAT® ソフトウェアが別のPCにインストールされていれば、ファイルを転送し、別のPCで確認することが可能です。

  • EndoPAT® 検査は必要なことですか?

    複数のリスク因子、または特に重大なリスク因子を一つでも持っているのであれば、かかりつけの医師にすぐに相談する必要があります。 たとえば、35 歳の男性で、41歳で心臓発作で死亡した父親を持っている場合、すぐにEndoPAT 検査が必要です。

  • EndoPAT® はどのような情報を提供するのでしょうか?

    EndoPAT® 検査中に収集された情報に基づき、次の事柄を評価することができます: • 動脈硬化の早期発見 • 血液循環状態 • 標準的な血圧計では発見不能な微小血管の障害。

  • 心臓病のリスクを持っていない場合でも、 EndoPAT® 検査をする必要があるのでしょうか?

    絶対にあります。 多くの患者は、継続的に健康を維持する戦略を定量化する予防方法としてEndoPAT検査を受けています。イエロー、もしくはグリーンといった高レベルのEcoScoreである可能性は多分少ないでしょう。EndoPAT検査は、明確な症状がない患者でも、内なる冠動脈疾患を見つけ出してくれるのです。

  • EndoPAT® 検査は、心臓関連の研究に使用されているのでしょうか?

    EndoPAT® は、様々な有名医療機関で実施された臨床研究で使用されています。 メイヨークリニック、ジョンズ ・ ホプキンス 病院、ハーバード大学医学部、クリー ブランドクリニック、フラミンガム心臓研究、マウント シナイ病院 (NY) など。

  • EndoScore™ の配信方法は?

    EndoPAT® 検査が完了すると、検査結果と検査の詳細なグラフを含むレポートが印刷されます。さらに、複数のテスト変数と品質管理パラメーターを含む、より詳しい評価が可能なスプレッドシートも同時に印刷されます。